2003年8月              花の山・火打と妙高を行く

                                                        岡ア正晴

 

 雨の大阪を夜9時35分に出発、一路車は名神kら中央道へ、途中の駒ケ岳サービスエリアで仮眠、

午前3時05分目覚めとともに再び走り出した。長野道・上信越道と駆け抜けて妙高サービスエリアに

5時17分頃に着く、雨も上がってきて休憩、朝食を兼ねてのんびりとする。

 左側に妙高らしき山も見える、空はいつの間にか曇り空に。車は中之郷インターから18号線の関山

交差点を右折れ妙高高原公園線へ、関温泉、トンネルを抜けて燕温泉花文駐車場に6時55分に到着。

荷物をまとめてタクシーで赤倉温泉、いもり池を経て笹ヶ峰高原に着く。途中に京大山岳部のヒュッテ

があり、その昔京大山岳部とマタギが一緒に切り開き作った登山道(今回登る)が見える。また有名な

雪山賛歌が生まれたのも、この京大山岳部のヒュッテだとタクシーの乗務員さんの説明だった。

 

   

          ( 妙高山(中央)と笹が峰・ 朝6:30頃、関山交差点付近から )

 

 奇麗な緑の笹ヶ峰牧場を抜けて8時20分笹ヶ峰ロッジに着き、登山口から入山しブナ林ダテカンバの

中を抜けて小休止しながら黒沢橋へ着く。台風の直撃で急な流れに巨岩もゴロゴロ、石に付いてた苔

も流されていた。 橋を渡りいよいよ難所の十二曲がりにさしかかる、急登が続き登り切ると富士見平

だ、天気が良ければここから富士山が見えるはずだが、あいにく明け方まで雨で今はもやがかかり遠

くまで見えず一休み。 そこから左へと黒沢岳を巻くように進む。水溜りと泥道を進み、やっと花の咲く

広い処に出て、丘を越えて少し進むと左手に赤い三角屋根の高谷池ヒュッテに12時20分に着く。

 ここで昼食を摂り、今回三つの湿原のひとつ高谷池を見る。時々沼にガスが下ってくる、もやもやっと

霞む、なんとも神秘的である。ゆっくり散歩する、ここまで来て癒される、気分も最高。

 

       

                      ( 高谷池と高谷池ヒュッテ )

 

 13時10分木道を通り高谷池をぐるりと廻り、花咲く尾根を越えて天狗の庭へと進む。この辺り一帯は

高山植物の宝庫で色々な花が短い夏を咲き誇ってた。本来ならば池塘に火打がくっきり映えるはずだ

が、頂上付近に多量のガスがかかって見えない。ただ天狗の庭の廻りの外輪山までくっきり見え、その

まぶい緑色、まるで新緑の季節みたいだった。木道もこの池を過ぎると尾根の付け根までさらに上り、

下りを繰り返して雷鳥広場に14時05分に着く。

 日本に三ヶ所あると言われる雷鳥生息地の一つで、先ほどまで7〜8羽いたと家族連れが教えてくれ

た。その時すぐ上の方で鳴き声が聞こえるが雑木が多くて、その美しい姿を見る事は出来なかった。

 

 道は長い最後の登坂、そのうえ山崩れ防止用の竹の流れ止め階段が長い長い、そして丸太の木の

階段をぐるりと廻って上がる。茅の下を抜けると急に開けて14時40分火打山頂上に着く。やった、本当

にしんどかった、15時までに全員が着かなければ諦める事にしているから必死で頂上を目指した。

 

   

                  ( 天狗の庭・火打山下の木道から )

 

 ガスの合間に太陽が日本海を照らしスカイブルーの奇麗な海が見えた。直江津から名立谷浜にかけ

てと思えるがすぐに隠れて何も見えない。天気が良ければ佐渡島、北アルプスなど素晴らしい眺めの

はずだけど残念、雨が降らないだけでも良かった。わずか15分であるが14時55分下山、来た道をひた

すら歩く。空が少し暗くなってくる15時55分高谷池ヒュッテに着く、少し休み今夜の目的地へ向けて出発。

急坂を上り稜線に出る、右に道を取りしばらく歩くとゆるやかに登って茶臼山を通り、下りになると黒沢

湿原が見えてくる。左奥の方にブルーの色をした八角形ドム型のめずらしい建物が見えてくる。今夜の

宿、黒沢池ヒュッテ、ここまで来ると急に元気が出て、小川でドロドロの靴などを洗って17時20分に着く。

 受付を済ませ二階へ、八角の升の一つを使用することになる。 意外とゆったりしていて、升毎に窓

が付いていて外が見える。 食事も小屋にはめずらしく全て手作りで意外と空いていてゆっくりと済ませ

る。この夜の一杯のビールは非常においしかった。時の流れと共にくつろいでいると窓に映る星、思わ

ず外に出る、天の川がくっきりと見える。あっ!!あの星が、この星がと思いつつ標高2000m山の中。

ここは新潟県寒い、食事の時美味しい、美味しいと一人で飲んだビールの酔いも覚めてしまい、室に

戻り布団の中に入るやもう目もうつろ、睡眠不測も重なりすぐに深い眠りに落ちてゆく。

 

   

                    ( 火打山全景・大倉乗越から )

 

 朝五時過ぎ、廻りのざわざわ音で目が覚める。本日は妙高登頂だけの為まだゆっくり、6時30分頃

「もう下の食堂に誰もいないよ」の声に行くと、私たちのみでゆっくり味わう。変わった朝食だったけど、

行った時の楽しみも大きいので伏せておく事にしよう。コーヒーとスープは飲み放題、コーヒーはとって

も美味しかった。準備も整って7時20分強い日差しのなか大倉乗越に向けてヒュッテを後にする。山の

中さわやかな朝、ダテカンバの道を一歩、また一歩登り大倉乗越に、振り向くと朝の景色のなか火打山

が奇麗に見え、思わずパチリ、写す。 こんどは急な下り、右に左にそして山腹を斜めに細い道、足元

が気になるきつい道。沢と雪渓を横切って丘の上を越えて長助池の分岐に出る。

 ここから沢と石の急坂を約1時間半の登りである。石も上に行くほど大きく段差も激しくなってきた。左

手に大きな岩の塊が見えてくると頂上も近く空も開けて岩の間から稜線に出て右に行くと北峰の山頂だ

9時20分皆な元気に着く。2445.9m

   

             ( 妙高山頂の北峰、後方は新井市・南峰から )

 

 眼下に黒姫山、野尻湖、奥に斑尾山、左に高田平野その先に日本海、360度の展望、遠くに佐渡島が

見える。この雄大な景色のなかでちょっと早いけどバーナーに火を付けて時を忘れて、ゆくっりの昼食に

する。どれくらいいただろうか心に残る名、妙高。10分ほどで南峰に着く、西側よりガスが上がってほとん

ど何も見えない。12時5分南峰を出発、急勾配の岩場を下り鎖場に着く。岩側に靴先が入るようにしてあり

安心できた。道も光善寺池を過ぎ下り道一筋、天狗平に着く。ここで赤倉方面と別れて左の急なジグザグ

石の段道になり、胸突き八丁と言われる急坂を下り、大田切川の冷たい雪解け水で顔と首筋を冷やし一

息入れる。そして北地獄谷分岐から称明滝、光明滝を通り麻平に着く。5分休憩の後3時40分出発、河原

の湯、吊橋を渡り15時17分燕温泉に着く。

 すぐ前の大日屋店先のパラソルテーブルに腰を下ろしジョッキでカンパーイ、熱い体、ググーと喉ごしに

入る。うまい、一気に廻る、ビール最高!!

 

 50mほど下りホテル花文に着く。手続きを済ませ部屋に入りすぐ浴場へ、乳白色の湯、私の好きな湯

の一つでもある。楽しみと言えば今回も食事を一品増やし、それなりに又ちがった夕食を満喫する。夜の

星空のした散歩としゃれこんで歩いていると新井市方面の空に花火が良く見える。涼みがてらしばらく見

物する。夜の空にパァーと広がる、麗だ。 寝る前に野天風呂”黄金の湯”に浸かり風呂の中で四人の

先客と色々話をしたが、アルコールが回ってきて長風呂をやめて早々に宿に帰り床に付く。

 

 17日朝早く奥山さんと野天風呂にゆく、昨日とは変ってどんよりと暗く垂れ下がった雲、やっぱり湯の

中に、雨輪、頭にポツリ、やむえず湯船から上がり宿の内湯へ。朝食後外を見ると大雨、本日予定の

黒姫高原のコスモス、野尻湖など取りやめにし宿を9時20分出発。道の駅でゆっくりくつろぎ、10時40分

大阪に向けて雨の中、車を走らす。上越高田インターから510Kmの高速道を一気に駆け抜け、途中大

きな渋滞もなく無事に17時00分大阪駅に着き解散。お疲れさま、私も20分過ぎわが家に着く。

 

(後記) 燕温泉はなぜかツバメが多く住んでいる。一晩停めた我が愛車にも所かまず糞の洗礼。でも

     雨に救われる。餌となる虫などが多く、格好のすみかだ。 山にも虫が多く、歩いていても顔な

     ど汗の所に飛んでくる。非常にやっかいなもんだ虫のなかでも刺されると腫れてくるのもあり、

     虫対策も必要だ。

 

     朝日浴び 裏妙高に 陽が当たる : 晴れ渡り 妙高山に 夏の空 : 

     夕涼み 打上げ花火 麗だと

     怪しく漂う湿原の霧が晴れて池塘に火打山 : 美しく咲く華ばなの心ゆれてもやの中 :

     山小屋の赤い三角屋根に濡れはえる緑の草原

 

    

                       ( 妙高山頂の筆者 )

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