みなみ・ひらさんけいじゅうそう

南・比良山系縦走

2007/10/6                                                       崎田信義

 JR堅田駅からバス乗車、平で降車。 イン谷からJR比良駅までは徒歩30分強。
 蓬莱山が1174m、比良岳は1051m、烏谷(カラト)山などが連なる。
 山小屋はないが、打見山にゴンドラ山頂駅とびわ湖バレイスキー場の施設がある。

 平バス停→権現山→小女郎ケ池→蓬莱山→比良岳→荒川峠→南比良峠→金糞峠→イン谷
 バス停9:15発(70分)権現山(85)蓬莱山・昼食(80)比良岳(125)金糞峠(90)イン谷17:10着

 

 比良山系は近くにあり、山の香りが豊富なところである。 当方は関西に移住して以来
この10年では一番よく足を運んでいる。 また南比良の縦走路は現状の脚力、体力を測
るコースと決めて2,3年ごとに同じ径路を辿っている。
 
 秋晴れの下、足下に琵琶湖を眺めながら歩けるので爽快さはひとしおだった。脚を傷め
たこともあり、四年ぶりに何とか踏破でき、日本アルプスも歩けるかと確認が出来た。

   

アラキ峠

権現山から琵琶湖大橋を遠望

   

<急登>

 JR堅田から坊村方面行きバスに乗るが、近年は便が減り朝、昼、夜の3便しかなかった。
花折峠を越えた平バス停で降り、尾根路の権現山を目指す。登山口からの林道は舗装に変
り、10分ほどの処から漸く朽ち木や苔の径となる。

 杉や檜などの幹にはビニールテープが巻き込んである、熊の被害防止用と聞いた事がある。
段々と坂がきつくなり、足を止めて息を整えながら進む。 やや平な場所にアラキ峠の標識が
見えてきた。
 一服して登ると木々の間に空も見えてきた。尾根に着いたかと思うと、空はさらに先に続い
ている。一時間ほどして権現山に到着、縦走コースの始点には同じ径路を目指す若者もいて
挨拶を交わす。


     

リンドウ

ホッケ山から蓬莱方面を遠望

小女郎ケ池

蓬莱山頂からゴンドラ山頂駅方面

     

<蓬莱山の眺望>

  径の脇には熊笹、ススキなどがあり、所々に可憐な紫色のリンドウが咲いている。ほぼ平坦
な径を進むと蓬莱山腹と小女郎ケ池が見えてくる。 下った処は縦走路とは別に、坂下から池を
経て薬師滝へと続く横断路が交差点みたいに出合う。 池は波も立てず、ススキの穂先は未だ
エビ色のままで秋の深まりを待っている様だ。

 土がむき出した山腹を上ると蓬莱山頂に至り、ぐるり360度の眺望が出来る。琵琶湖が手に
収まるように見え、対岸の街も鈴鹿の山並みも一望できた。 昼食を摂ることにし、誰かが建て
た鐘つき塔の台座に座る。無粋なことをした人がいるもんだ、早く取去って欲しい!

汁谷から上がると木戸峠

ブナの大木

比良岳1051m

蓬莱山頂を返り見る

烏谷山頂1077mはここから少し上る

明るい荒川峠

堂満岳の南面にある南比良峠

金糞峠から下山

    

<アップダウン>

 蓬莱山からスキー場のフェンス脇を下り、ゴンドラ山頂駅に立寄る。近々大型ゴンドラが開通
するとかで工事の最中だった。

 汁谷へ向かうリフトの急坂を下り、右折すると縦走路の木戸峠に出合う。 ここから比良岳、
烏谷山を経て荒川峠まではアップダウンが連続し、コース一番のハイライトでもある。 途中の
葛川越には大きなブナの木もあり、一息できる広い場所だ。 四年前に比べ所々径が削られた
り、荒れたりしていた。この夏の気候のせいか水も少なく、深山の香りも薄く変貌を感じる。

 烏谷山を下った大木の下で一休みし、おやつを食べる。歩いてきた蓬莱山が向うに大きく緑
鮮やかに見える。反対からくるハイカーも数人出会う、時間的に中間地点になったのだろうか?
武奈ケ岳から蓬莱山を目指しているとか、エールを掛けて離れた。
 やがて堂満岳の山肌が迫り、右下がりの裾野が湖へと続く。その山腹の西面を巻きながら進
むと急坂を上り、一箇所崩落した径を迂回する。 樹木が倒れたり、細い粘土径になり堂満岳
への分岐に至る。石楠花が沢山あり来春が楽しみだ。

   

危険な下山途 ”青ガレ”

”青ガレ” 下端から見える近江舞子

   

<青ガレ>

 痩せ尾根を下り、陽に照らされた金糞峠に着いた。ここで今日の縦走を終えることになるが、
この先下りのガレ径を見ると気が抜けない。 最後のおやつを口に入れ、通称「青ガレ」に踏み
入り、イン谷を目指して下る。

 ガレ始め100m下くらいまでは新たに崩れた石ころが重なり、歩くポイントを図りながら慎重
に進む。以前からある岩は苔むしているので、なるべくそちらを辿る。 上えからの落石を気に
留めながら、時には振り返りながら難所を過ぎた。
 近年の台風被害等で両脇の山裾が新たに崩落、元の踏み跡を遮断した処が数箇所あった。
一番奥に位置する堰堤は岩や砂利で完全に埋まり、機能停止状態に見える。


<イン谷の親爺さん>

 山の端に夕日が当り、ハイカーが減少して静かさが増したイン谷に着いた。店にはビールの
自販機が置いてあり、下り径ではいつも楽しみな場所だ。 主人とは優良顧客の間柄で、三年
前武奈ケ岳に登って以来、久しぶりに四方山話を聞いた。

 「比良は終わりや!」リフトやスキー場が閉鎖になり商売が出来なくなった、しかも何の保証
もなしだ。国定公園内のリフトやスキー場施設は原状回復の為多額の税金が使われたと言う。
リフト関連の会社は廃業・解散、親会社は何ら傷まず、零細な店はおしまいになった。 万人が
満足する策はないが、行政側はつじつまさえ合えば大金を投じる。(ある意味エーカゲン)

 自然を傷つける人が減り、公金が機能して比良の自然が豊かになれば幸いだ。一人営業を
続ける店の機器を止め、車で帰る親爺さんにまた来る事を約し、近くの温泉へ向かった。


南比良縦走の行程表を見る←クリック

    

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