からさわ  〜  びょうぶのコル

涸沢〜屏風のコル

2010/9/22                                                       4人パーティー(崎田・記)

 名神・東海北陸道・飛騨清美IC→高山市→R158→平湯・アカンダナ駐車場→上高地BT
 屏風のコル 約2430m

 涸沢小屋→涸沢ヒュッテ→屏風のコル→奥又白谷→新村橋→徳沢→上高地BT

 横尾山荘、涸沢小屋、涸沢ヒュッテなど
 6:15発(100分)屏風のコル(120)奥又白谷(55)新村橋(15)徳沢(130)河童橋13:15着 Σ7:00

 

   
    秋のシーズンを控えた穂高に登ろうと、上高地から横尾に向かって歩き始める。三連休
   最終日だから槍、穂高から戻る人が切れ目なく続く。 黄葉には早いが快適ルートだ。

    曇天の下で、穂高も槍も何も見えないまま山荘で翌日を期待する。しかし低気圧の移動
   が早くなったのか、山頂への条件は悪くなり、ピークハントは断念して次の目標とした。

    予定の屏風のコルからのパノラマコースを辿り、新村橋へと下りた。奥又白谷の森では
   偶然にも遭難碑に出遭う、55年前にナイロンザイルが切れて亡くなった若山五郎さんが
   荼毘された場所だそうだ。小説「氷壁」のモデルにもなり、製品の責任性が問われる契機
   にもなった。 山頂には行けなかったが、安全祈念にも通じる行程になった。

 
 

穂高吊尾根〜前穂高岳3090m (曇天の切れ目)

 

<涸沢>

  横尾山荘を発って間もなく雨が落ちてくる。 奥穂山頂に上り、涸沢小屋に戻る予定だ
が出鼻をくじかれた。歩速が落ちるので、8時間強の行程は無理になった。
 涸沢小屋に着き午後からは小降りとなるが、登頂を諦めて一日投宿する事にし、周囲を
散策したりして過ごす。ビールの味もイマイチで感激が湧かない。

 小屋の裏手から北穂高へ登る径が続いている、上部は雲に隠れて見えない。10年前に
登った時の長い鎖場が蘇り、今日と同じように山頂下から雨になった。 高度差約700mを
4時間近く掛けて届いた記録がある。 小屋から三時間も上がれば穂高岳山荘まで届くが
雲の中からは何も見えず、高度感も得られず山頂は次の課題とした。

 

    

涸沢カール (奥穂高は分厚い雲のなか)

     

涸沢小屋(2350m)からカールを俯瞰

東は明るく常念岳から燕岳まで遠望

 

<奥穂へのルート>

 涸沢カール(圏谷)の底は有名なテント場で、悪天候なので数張り見えるだけだ。 ヒュッテ
の側から雪渓を見ながら、ザイテングラート(主稜に対する側稜/独語)の取付きへ上がった。
小さな雪渓を渡ると、涸沢小屋からの径と合流するポイント(約2520m)に至る。

 目の先にはシシ岩がきりっと聳え、その上は分厚い雲が垂れ込め、何もかもが隠れている。
北穂からの縦走尾根も全く見えず、反対側の前穂高が雲の切れ目に僅かに顔を出す。この
石ガレ径を進み、鎖や梯子を上がれば穂高岳山荘に届く。

 

 

奥穂高へ繋がるザイテングラート (後はシシ岩)

 

<屏風のコル・パノラマコース>

 三日目も朝から曇天、小屋の窓越しに雲が急降下する様子が観える。 予定通り、屏風
のコル(鞍部)からのパノラマコースを辿り、徳沢に下りることにして出発する。 ヒュッテの
下から右に下りパノラマコースに入る。 直ぐに上りとなり、Sガレ付近からはロープの連続
する細い径を辿る。先日の台風の跡か、ロープを固定した岩もろとも崩落した所もある。

 一時間半ほど進み痩せ尾根に至る、強い北風に帽子を脱いだ。うすい雲が激しく行交い
鞍部の特性を醸している。やがて分岐に着いて、休憩を取る。ここから少し上がれば屏風
の耳と言うピークに行けるが、この気象条件では何も期待できないので径を下る。

 下山路が俯瞰できる谷筋へと進む、稜線パノラマも何も無し尾根の岩壁が見えるだけだ。
程なく雨が落ちてくる、岩のガレ場を何度か過ごして休憩をとる。木製の梯子を降りて苔の
ついた岩路を下るようになる、大雨の時は川になるのだろう。

 二時間ほど下って漸く目の前が開け、激しくガレた川筋へと着いた。奥又白谷は前穂高
に向かう筋だが、山頂にはゴルジュ(狭く切り立った岩壁に挟まれた谷/のど)を登る危険
ルートだ。 大岩にペンキが印してあるので、川を渡り樹林へと進んだ。
 二つの碑が目に入る、仲間がザイル事件の遭難碑だと言う。偶然にも小説・氷壁に縁の
深い場所に至り、厳冬の前穂高東壁に命を落とし岳人に頭をたれた。 麻かナイロンかと
ザイルの強度を巡って訴訟まで展開された史実がある。

 梓川沿いに歩を運び、新村橋を渡り明神池からの自然探勝路を進んで上高地へと戻る。
天候には恵まれなかったが、北アルプス・穂高の凄みも味わうことが出来た。

 

屏風のコル付近

屏風のコル (屏風の耳までは600m)

奥又白谷

遭難碑 (55年前のザイル事件が「氷壁」のモデル)

 

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