くにみだけ ・ ごゆうざん

国見岳・五勇山

2011/10/23                                                         崎田信義

 宮崎市→西都市→木城町・美郷町→椎葉村(前泊)→R142・追手納→萱野登山口
 五勇山 1622m、 国見岳 1739m

 登山口→渡渉地点→石堂尾分岐→五勇山→小国見岳→国見岳 (往路を下る)
 登山口8:30発(105分)石堂尾分岐(45)五勇山(85)国見岳・昼食20分(35)小国見岳〜
    ・往復10分(50)烏帽子岳分岐(90)登山口 15:50着 
Σ7時間20分、約15Km
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 九州の屋根と呼ばれる宮崎熊本の山々は、高千穂町〜えびの市までが県境に接し1600m
超の峰が連なっている。 祖母山1756mが宮崎県最高峰で、国見岳は熊本県最高峰、宮崎県
で二番目の高さになっている。 また県境の尾根は分水嶺で大きな河の流域に沢山の発電所
がある。

 宮崎県椎葉村から登る予定で、国道10号から西都市を経て北西に進む。一部はひむか神話
街道にも当り、曲りくねった路は既に山のぼりの感じがでる。美郷町には百済の里、西の正倉院
等の観光スポットもある。中山トンネルと言う峠を一気に抜ける道路ができて、アクセスも早くな
ったそうだ。ただその前後は細いクネクネ道路で初心者には難儀なルートだった。

 尾前部落への分岐を過ぎた処に赤い鳥居、国見岳が真の天孫降臨の山だと記した、ポール
が立っている。山頂が遥拝できるのか、この地では昔から敬われている山だろう。
 国見岳は往復7時間強もかかり、予想以上の長い行程となった。 尾根筋は古木がコケむし
倒木が進路を阻む処もあり、雨の多い自然林を物語る。午後からは雲が出て山頂の祠に頭を
垂れて降りた。村を抜けて耳川沿いに日向市までが約70キロ、暗い国道はダムや発電所が続
きアクセスが遠い山稜だった。

   

国見岳山頂の一等三角点と祠

 

<椎葉村奥>

 椎葉村はその96%が山林で537平方キロの中に3048人(人口密度5.7)、正に九州の背骨に在る。
九州を代表する民謡「ひえつき節」発祥の地で、壇ノ浦で敗走した平家の落人達を追って来た那須
大八郎と平家の末裔・鶴富姫の悲恋が今に伝わる山深い処だ。 昭和30年にはアーチ式のダムが
竣工し、当時は東洋一とも言われた。
 ダムの付近は村の中心街で深い谷底を削ったような幅のある道路脇に、わずかな街並みや役場
が在る。名所ともなった”鶴富屋敷”(300年経った那須家住宅)が観光の中心にもなる。 敷地内に
ある旅館に前泊して登山口へと向かう。

 ダム湖の脇を更に西奥へとR142を進む、赤い橋を渡り不土野橋に至ると湖から渓流に変わり
小学校の案内板もある。県道は南下して熊本県水上村へと通じるが、尾前地区へと右折、郵便
局前を左折すると更に細くなる。舗装の林道は熊本の五家ノ荘へと通じる。尾手納・オテノ地区
を目指し、民宿”
焼畑”の看板も立つ分岐を今度は右折、林道と分かれたドンつきが萱野登山口
だった。中心部から何と22キロ、50分もかかった。 平家の落人を追って来た源氏の兵がもう人
も住んではいないだろうと、追っ手を納めた処だそうだ。

)日本で唯一焼き畑農業を続け、民宿も営む古老の紹介が9月のNHK Specialで放映された。

 

鶴富屋敷

上椎葉ダム (高さ111m)

萱野登山口

渡渉地点

石堂屋分岐

五勇山の標識

 

<五勇山>

  登山口に車を停め薮を進むと、いきなり渡渉地点、先日の雨で水量が増えている。石は並ん
でいるがロープが二本、片方は古びて切れそうだ。 慎重に渡り杉の植林へと入った。かなりの
急坂でジグザグが幾重にも続いている。 先週来、九州では絶滅が通説だった熊を祖母山系で
見たという新聞情報があり、念の為に熊除けの鈴を大きくゆすぶる。

 870mの登山口から一時間ほど上がり、石堂屋と言う山の分岐に至る。付近は背丈以上の笹が
茂り、周囲は何も見えない。径はしっかり付いていて迷う処はないが、物足りない感じがする。
やがて反対側の稜線や黄葉が見え始めてほっとする。 複数の稜線が見える尾根に着き、方向を
確かめる、西北に進めば五勇山に出会うはずだ。

 石楠花の木が生い茂り、眺望の良い場所に着く、熊本側の烏帽子岳、国見岳との分岐にもなる。
道端の標識が五勇山を示し、ピークはない。三叉路になる分岐には国見岳までが70分、萱野登山
口までが110分とある。既に上りが150分経過、往復6時間半以上になるが、案内本には5時間45分
とあり、ここで誤りに気がついた。

 

三叉路

小国見岳

枯れた大木

倒木

紅葉もちらほら

 

<国見岳>

  アップダウンの少ない尾根を北進、逆コースの2人連れと出遭った。熊本側の高岳辺りか
ら縦走して烏帽子岳から下るそうだ。かなりのロング、装備もがっちりしていた。 途中にある
小国見岳は帰路に立ち寄る事にして先を急ぐ。
 大きな古木が横たわり、枯れた木々の先に新たに芽吹いた比古婆衣(ひこばえ)も見える。
時折獣の匂いがする、鹿や猪などがマーキングして残しているのだろう。平坦ながら苔むした
径が続き、紅葉・黄葉が九州の奥地に華を添える。

 やがて山頂下からゴールを望むことになる。深い緑の大木は石楠花、春には見事な山頂を
仰げることだろう。登山口から約4時間で祠の立つ頂上へ着いた。北方面は雲が湧き眺望は
イマイチ、南は小国見岳の尾根、五勇山、烏帽子岳などが俯瞰できる。 東にある椎葉村の
峰々は名前が分からないけど、立派な樹林帯が続いている。
 昼食を済ませたところで夫婦連れが登ってきた。聞けば熊本側から最短2時間で来たそう
で、椎葉からも奥の林道(完全舗装ではない)まで進めば短時間で登れるそうだ。


 古来、ここまで分け入り最高峰から郷の様子を見つめたのだろか、祠を天に揚げて何を祈った
のか現代人には想像もできない。稗や粟、ソバを糧に、森の恵みに感謝した標しがここにある。

 

国見岳北面に雲が湧く

国見岳南の眺望

 

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