きそこまがたけ・ほうけんだけ

木曽駒ケ岳・宝剣岳

2010/8/1〜2                                                       11人パーティー(崎田・記)

 大阪〜名神・中央高速道〜中津川IC〜上松町「アルプス山荘」に前泊
 木曽駒ケ岳 2956m、宝剣岳 2931m

 頂上木曽小屋(泊)、 他に玉ノ窪小屋、頂上山荘、天狗荘、宝剣山荘など

 山荘→敬神ノ滝→五合目→木曽前岳→木曽駒ケ岳→濃ケ池→宝剣岳→乗越浄土→千畳敷→菅ノ台
<ニ日目>
 アルプス山荘6時出発(30分)敬神ノ滝(180)五合目(150)七合目・昼食30分(60)八合目(90)麦草岳分岐
          (60)木曽小屋16時着(泊)
<三日目>
 小屋6時出発(20分)木曽駒山頂(30)中岳(120)濃ケ池(90)昼食50分・宝剣山荘(20)宝剣岳(30)
          乗越浄土(40)千畳敷駅12時50分着

 
      行程略図→ こちら       花のスライドショー→ こちらから
  

 

宝剣岳岩稜 (木曽駒ケ岳から中岳越しの眺望)

    

   昨年は天候に恵まれず中止した夏山、今季への期待も高まり木曽路から上松Aコースを辿
  って木曽駒ケ岳へ登った。 アルプス山荘から山頂までは高低差1900mにもなる長い行程だ。
  山頂から中岳を経て馬ノ背を下り、濃ケ池から宝剣岳へと辿る、予想以上にロングコースに
  なったが朝の靄も晴れ、険しい岩稜の天辺に届いた。

   日本アルプスの登山道を開拓し、海外にも紹介したというW..ウェストンがこのルートを登り
  伊那谷へ下ったとある。 さぞ難路だったろう、今は確りとした径があるが上り9時間を越える
  大きな登山になった。 樹林帯を抜けてハイマツ地帯に着くと、雪融けを待った植物が小さな
  花々を一挙に咲かせ、その生命力には感動する。 氷蝕で生まれた小さな圏谷には水が溜ま
  り、周囲のお花畑には虫があつまり、短い夏の営みが繰り返されていた。

高嶺の花々・スライドショー> こちらから

 

<上松Aコース>

 
 山荘の側の北股沢は木曽前岳、麦草岳からの崩落が進み、大規模工事が長年続いている
そうだ。谷の幅も大きく、大きな堰堤には土石流を感知するセンサーが幾つも取り付けてある。
さながら大岩の露天掘り場みたいだ。

 朝6時に出発、荒々しい石ころ路を登山口の敬神ノ滝小屋に向かう。杉や雑木に混じり沢山
のヒノキがニョキッと立っている。前日散策した赤沢自然休養林は三百年の桧を守り、森林浴
発祥の森で、復活した森林鉄道も賑わっていた。こんな見事な木なら数本でヒノキ造りの家が
建ちそうだ。

 ジグザグ路や深い林を経て五合目の金懸小屋に着いた。初めて下りのパーティに遭いエー
ルを交わす。岩から落ちる水で汗を拭き、ペットボトルに冷水を満たして、胸突き八丁の岩場
を越える。出発して約1000m上がった勘定だ。

 モミや栂、松等の針葉樹林帯に入る。生木はスクッと立ち、倒木や地表が苔むし、アニメの
世界にも描かれる幽玄な世界が現れる。大きな岩が重なる”天の岩戸”を過ぎると漸く七合目
に着いた。雲が多くて眺望は悪く隣りの稜線が時折見えるだけだ。昼食を摂り、更に150m程
上ると広場とも言える八合目(2600m付近、遠見場ノ小屋跡)に着く、出発して七時間が経過、
疲れも出始めて長めの休憩をとった。

 木曽前岳に近づくと大きな岩が重なる径になる。 ハイマツが茂り、赤茶色の雄花が目立つ。
大岩の間にはチングルマなどの花も咲き、高嶺に届いた感じがしてきた。先頭組としんがりが
離れて互いに見えなくなる。 雲がかかり遠望は難しいが麦草岳・牙岩の難路との分岐に至る。
ほどなく木曽前岳の標を過ごし眼下に玉ノ窪小屋が見えた。しかしそこから先にある木曽小屋
は全く見えない、行者像の横を過ごし、岩の路を上ると漸く小屋に着いた。
 先頭と殿は50分ほど差がでたが、凡そ10時間で全員が無事に到着した。曇天も幸いして汗
での疲労は少なかった。互いの健脚を称えて二度、三度のカンパ〜イ!

 

登山口・敬神ノ滝小屋(下見の時)

四合目

幽玄な森(六合目付近)

天の岩戸(七合目下)

七合目

八合目(広い小屋の跡)

牙岩・麦草岳方面への分岐

木曽前岳 2826mの標

夕食

行者像(玉ノ窪山荘上)

頂上木曽小屋・背景は木曽前岳/夕食

 

<木曽駒ケ岳 2956m>

 
 前日に10分程の山頂に上り夕日を遠望できた。宝剣岳から空木岳、南駒ケ岳方面の稜線が
続き、すぐそばには支脈の三ノ沢岳がどっしりと連なっている。 次第に雲が峰峰に集り谷間を
埋めてゆく様は一幅の絵で、いつ観ても雄大だ。北方面、乗鞍や北アルプス、東の南アルプス
は生憎の雲で望めなかった。

 翌日4時頃には皆なが起きて準備を始め、5時前には朝食を摂る。2900mに位置する小屋で
和食を食べ、弁当をザックに詰めて出発する。山頂に登る頃には薄日も射し、雲の上に己の姿
がぼんやりと投影、手を振れば影も動く、ブロッケン現象にしばし感嘆した。

 山頂には二つの神社があり、夫々木曽と伊那の駒ケ岳神社になる。山頂は土が露出し広場み
たいな場所で直下の岩尾根と比べても感動が薄い。標を中に記念写真に収まり、中岳へと下る。
頂上山荘の側にザックをデポして岩稜の中岳へピストンする。 そのまま南に進めば30分位で
宝剣岳の基部へ届くが、濃ケ池カールを巡ってから山頂に登る予定で馬ノ背を目指して進んだ。

   

 

夕暮れの遠望

木曽駒ケ岳頂上/宝剣岳〜三ノ沢岳の真中に空木岳等を遠望

ブロッケン現象

駒ケ岳神社(木曽本社)

駒ケ岳神社(伊那本社)

中岳2925m

 

<濃ケ池カール>

 
 頂上山荘の脇から北東に進むと、西駒山荘を経て伊那市へ降りる尾根筋に出会う。馬ノ背と
呼ばれる眺望の良い尾根で周囲の峰峰や池を俯瞰できる。朝霧も晴れて昨日は見えなかった
木曽前岳、麦草岳、牙岩などが見える。南がわの宝剣岳も伊那前岳も同じ目線に入る。

 大きな岩径を下り、ゆるい背中のような上りに着く。 右下に小さな池が見え人影も動いてい
る。 古い地図にある径を下る、ハイマツなどの木々の下を腰を折って進み、池の渕へ届いた。
馬ノ背をえぐり取ったような斜面の底に、平坦な池が出来ている。 氷蝕によるカール地形だそ
うで、千畳敷カールのミニ版だ。水量は少ないが冷たくて気持ちよい、周りには高山植物が沢
山の花々を付けている。

 一休みして宝剣岳を目指して南西へと足を進める。ゆるい上りだが雪渓やガレ場が続き一時
間ほどで急坂になる。行く手の左には雪渓からの流れが音をたて滝もあるようだ。坂を上り詰
め弁当を食べる。 先頭としんがりの調整も兼ねるが、当方は腹の具合が悪くて昼ヌキとし、ポ
カリを飲んだ。昼食後に天狗山荘を目指して上る。U字谷の石ころ径、左右に伊那前岳、中岳
などを仰ぎながら雄大なルートを進んだ。

 

馬ノ背へ下る

濃ケ池を俯瞰 (約150m下)

濃ケ池カール

宝剣岳を目指す

雪渓

 

<宝剣岳 2931m>

 
 山荘に荷をデポし険しい山頂へピストンする。 天狗岩への小径はロープで入山禁止、見るだ
けで満足できる自然のオブジェでもある。 岩峰に登る径は金属の鎖が付いていて、切立つ岩に
足を掛けて進む。 西側が絶壁になる場所もあるが、三点支持でゆっくり進めば20分程で天辺に
至る。人が一人だけ立てる岩の尖端はこわくて遠慮、記念写真だけ撮ってくる。

 今夏のハイライトを岩峰の天辺で迎えた。 南へ下れば極楽平へ至り、千畳敷駅へ降りれるが
北側よりも難路で事故も多いところだ。 元の径を辿り全員が揃ったので乗越浄土から千畳敷へ
と下った。 上り下りの人が多くなり、ロープウェイ駅は客で混雑、小一時間待って下山できた。
”こまくさの湯”で汗を流し、木曽から伊那へのアルプス横断は全員が無事に完踏した。

  

 

天狗岩の横顔

宝剣岳2931m

宝剣岳の尖端

乗越浄土(背景は宝剣岳)

千畳敷から見る宝剣岳

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